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高齢者のうつ病について

うつ病は、誰でも罹患する可能性がある疾患です。何事にもやる気が起きなかったり趣味が楽しくなくなったり、眠れなくなったりと、さまざまな症状が現れます。放置すると寝たきりになることもあるので、注意が必要な病気です。高齢者の場合、加齢による身体能力の低下、配偶者や兄弟との死別、施設入所に伴う住環境の変化、経済面での困窮といった避けて通ることができない出来事が大きなストレスになり、うつ病の典型的な症状が発病しやすくなります。

ストレスは誰にでもありますが、ストレス耐性には個人差が見られます。ストレスの大きさが本人の限界点を超えると、うつ病という形で表面化します。特に配偶者との死別は大きなストレスにつながることが多く、気分の落ち込みがひどい場合はまめに訪問する、それでも状況が改善しない場合は医療機関受診を勧めることも視野に入れる必要があります。

高齢者の場合、精神科受診に強い抵抗感を持つ人がまだまだ多いです。かつては精神科に通院していることが分かると、近所から奇異な目で見られることもあり、精神科イコール閉鎖病棟への入院と結びつけて不安を増大させることもあるようです。相手の話をよく聞き、選択肢の一つとして精神科受診がある旨を話すと相手も受け入れやすいでしょう。うつ病は現代医学でも完治させることが難しく、継続的に抗うつ薬を服用するケースも多いです。精神科を受診しても、薬の服用を頑なに拒むことも少なくありません。うつ病の治療には投薬が欠かせず、薬はギブスや松葉づえと同じであると伝えて、服薬を促すように努める必要があります。